至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

宝塚歌劇を愛する理由

私が『愛と青春の宝塚』の舞台を観て最初にここで書いた内容の中に「今の自分は宝塚歌劇を愛している」ということ実感したというものがあります。ではなぜそう書くほどに宝塚歌劇に惹かれるのか… 冷静に考えてみれば今も宝塚歌劇のファン層は圧倒的に女性の方が多く、劇場の観客も大体いつも8:2ぐらいの割合で女性ばかりの状態です。そういうある意味では「女性向け」ともとれる宝塚歌劇になぜ男である私が魅せられるのか… そこにはいろいろな要素があると思います。たとえば元々映画や演劇に興味があり、さらにモーニング娘。のファンでもある私が、同じく女性集団が歌い踊る舞台を披露する宝塚歌劇に興味を持つということは、その中身に違いはあれど十分予測できることだったのかもしれません。同じく私がファンである高橋愛宝塚歌劇のファンであるということも影響しているでしょう。

しかし私はそれらの事柄は主要な理由ではないと感じています。私が宝塚歌劇に惹かれる主要な理由はもっと別のところにあると… そしてその最も主要な理由を具体的に表していたのが、この『愛と青春の宝塚』の舞台ではなかったかと思っています。

その主要な理由とは何か… それはひとことで言えば「舞台人としてあるべき姿を見せてくれる」から、と表現できるでしょうか…

愛と青春の宝塚』の中で語られたものは、演劇というエンターテイメントとっては最も過酷な環境である戦時下において、若いタカラジェンヌ達がいかなる境遇に追い込まれても「舞台人」としての矜持を持ってそれを全うしようとする姿でした。

では「舞台人」として全うしなければならないこととは何か? …私の解釈ではそれは「観客に夢を与えること」だと思っています。戦時中であれ平和な時代であれ、そもそも人が生きていくということには辛いこと苦しいことというのが多かれ少なかれつきまといます。そんなときに舞台上で力強く生きる姿を演じ、観る者に勇気や希望を与えるのも舞台人のなすべきことです。また華やかに歌い踊り観るものを楽しませ明日へ活力を沸き立たせることも舞台人の仕事だと思っています。

しかしそれは簡単にできることではありません。舞台の上に立ち観客に夢を与えるためには、その夢の大きさの分だけ引き換えにしなければならないものが必要となります。それは「犠牲」という言葉を使って表してもいいでしょう。例えば大リーグのイチロー選手もファンに夢を与える存在ですが、彼のスーパープレイの奥には私達が想像もつかないような努力と苦しみが存在していると思います。およそプロスポーツで活躍している選手の中で、五体満足でプレイしてる人はいません。「人に出来ないこと」をやっている人達は、私達には見えない部分で多くの犠牲(怪我など)を抱えながら活動しているのがほとんどです。

そしてそれは「舞台人」でも同じことだと思っています。舞台の上に立ち観客に夢を与えるために日々稽古に励み、その中には様々な葛藤や苦しみも存在していると思います。しかしひとたび舞台に立てば、それらをおくびにも出さず華やかな姿を披露して観客を楽しませる。それがプロフェッショナルの姿だと思います。

なぜその犠牲に耐えられるのか、いや耐えなければならないのか… それは「舞台人だから」という理由になります。彼女達は自分の意志で宝塚歌劇という場所を選び「清く正しく美しく」という信条のもとに舞台の上で生きていくと誓った存在だからです。

この身ささげ 青春のとき

燃やし尽くさん 舞台の上で

時を超えて われらを結ぶ

乙女の誓いよ

清く 正しく 美しく

愛と青春の宝塚』の中で歌われた『恋よりも生命よりも』の歌詞です。彼女達はそうやって百年に近い宝塚歌劇という夢を与える存在を支えてきたのです。もちろんその長い歴史の中では綺麗事ばかりではないでしょう。人間的なしがらみや組織的な思惑などが絡みドロドロしたものもたくさんあると想像できます。

しかし私は昔も今も連綿と続く、多くの犠牲を払いながらも観客を一に思いタカラジェンヌとして舞台を全うしそしてやがて退団していくタカラジェンヌの姿に惹かれます。その舞台人としての一途さと儚い美しさに魅せられます。『愛と青春の宝塚』の最後の舞台挨拶で湖月わたるさんがおっしゃってました。「観客の皆様の拍手に勇気づけられて毎日舞台に立っています」と… そのが、私を劇場に足を運ばせます。

それが私が「宝塚歌劇を愛する」理由です。その素晴らしきタカラジェンヌの存在がある限り、私は宝塚歌劇を愛し続けると思います。私も人生というスパンでみれば、もう折り返し地点に近いような歳になりますが、あと残り半分の人生を宝塚歌劇に寄り添って生きていけることを幸福に思います。

来年もまた素晴らしい舞台と舞台人に劇場で出逢えることを本当に楽しみにしています。