宙組公演 ミュージカル『カサブランカ』
行ってきました。大空祐飛・野々すみ花のトップコンビお披露目公演でもある宙組の『カサブランカ』
あまりにも有名なこの映画を、どのような形でミュージカル化するのかというのも注目されるところです。映画の方は私も過去にレンタルビデオまたはテレビ放送にて観たことがあります。今回も観劇前に改めて見直してみようかなとも思ったんですが、結局見直さずに観劇してきました。
全体の感想としては、新トップである大空祐飛の魅力が全面において押し出された作品だったと思います。もともとお披露目公演というのは、特に新トップが目立つような演出がなされる傾向にあると思いますが、この古典的名作である『カサブランカ』がまるで大空祐飛のために作られた作品であるかのように錯覚するぐらい、その役柄にはまっていました。
このような形で原作の魅力を失わずに、さらに宝塚歌劇のミュージカルとして新トップ大空祐飛の魅力をその中で遺憾なく発揮されるような作品に仕上げた演出家の小池先生の手腕は素晴らしいと思います。
この作品の魅力はひと言で言えば『ダンディズム』
惚れた女の幸福のために男はどうあるべきか… それは大空祐飛＝Rickの「背中」が教えてくれる。それが男のダンディズム。…いや〜もう全編にわたってシビれましたね。有名なセリフもしょっちゅう出てくるしねえ… 普通に言ったら単なる「キザ男」にしかならないアレを完全に自分の物にしてるところが最高にイカしてると思いました。
またミュージカルとしても、原作からの曲とオリジナル曲も含めて歌唱が全体にちりばめられており宝塚歌劇作品として昇華されています。今年最後の大劇場公演を締めくくるにふさわしい傑作です。
ではキャストごとの感想を
- リチャード・ブレイン（リック）/大空祐飛
もう既に書きましたが、とにかくその役のハマり方が凄い。もともとクールな所が売りでもあった祐飛さんですが、このリックはまさに当たり役。体全体から滲み出る男のダンディズムにシビれます（＾＾； オリジナル曲のソロもたくさんあります。まあもうこれはとにかく観てもらって「男役・大空祐飛」の魅力をふんだんに味わっていただければいいかと。いや良かった。
- イルザ・ランド/野々すみ花
本当にいつ観ても上手いねえ… もう演技に関しては安心して観ていられます。どんな役がきてもある一定レベル以上に仕上げるポテンシャルがある子だから。あとは贅沢を言えば「深み」かなあ… さらに経験を重ねて、観客の心を底から揺さぶるような深みが感じられる存在感を出していって欲しい。…まあ今でも十分凄いんですけどね。あとデュエットでは、もう少し声量があればと思います。ちょっと祐飛さんに押されすぎのような印象を受けました。
- ヴィクター・ラズロ/蘭寿とむ
安定感のある演技でした。リックのダンディズムに対して、こちらは正統派のジェントルマンって感じで、その対照的な魅力が感じられて良かったです。
- ルノー大尉/北翔海莉
これまた上手かったですね〜、みっちゃん。今回はちょっとおどけた悪役っぽいんだけど悪役じゃないという非常に難しい存在を、本当に巧妙に演じられてました。この存在があるからこそ、またリックの存在も生きてくるというもの。絶妙でした。
- ハインリッヒ・シュトラッサー少佐/悠未ひろ
こちらもハマってましたね〜。ドイツの厳格な軍人がぴったりだった。ナチス・ドイツは物語的にはよく悪とみなされるけど、格好良さだけ見たらピカイチなんだよね、実は。その感じがよく出ていました。
- サム/萬あきら
この作品で退団なんだよねえ… 寂しいかぎりですが最後にこの役ということで例の名シーン『As Time Goes By』を弾くシーンとか味があって良かったです。歌もいっぱい聴かせてくれます。
以上が特に印象に残った方々。今回主要な役の方々がハマっているだけに、その他の役柄の方々が目立たないところが難点といえば難点かｗ（アリスちゃんとか割り食った感じ（＾＾；） それでも宙組ならではの魅力も見せてくれます。特に劇中、あのドイツ国歌とフランス国歌が張り合うシーンのコーラスは凄かった。あれも有名なシーンだけど、宝塚歌劇ならではの魅力を発揮していたと思います。それとエトワールの方、七瀬りりこさんが非常に素晴らしかったです。宙組だと歌唱といえばたっちん（和音美桜さん）を思い出すけど、その後を継ぐ存在になるかも。
あとはやっぱり個人的には、すみ花ちゃん（*＾＾*） 最後に大階段を大きな羽根背負って降りてくるのを見たときは、ちょっとジーンとなりました。とうとうトップになったんだなあ、というのを改めて実感しました。本当にこの子は宝塚歌劇を代表するような娘役さんになってくれると思います。これからもトップとして宝塚歌劇の娘役を極めていって欲しいと思います。
今回の公演定食（＾＾；
