至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

Asian Beat Fiction『何日君再来』イツノヒカキミカエル / シアター・ドラマシティ

当初この舞台は観に行く予定ではありませんでした。
現在、ハロー!プロジェクトは舞台方面の活動が活発になっていて、様々な劇団の舞台に参加することが多くなっていますが、そのほとんどは関東のみになっています。
この『何日君再来』は、珍しく関西でも公演が行われるものでしたが、チケットが割高(\9,500-)なこともあって、最初は観に行くつもりはありませんでした。
しかし、その考えが変わった理由として、一つは公演が始まってからの評判がすこぶる良いものだったことと、もう一つは辻ちゃんが降板して、よっすぃ〜が代役に決まったからです。
あの素晴らしいリーダーが突然の代役を務める…、しかもその舞台の評判がいいとなればそれは観に行かないと、と思い急遽チケットを手配しました。
結果として、その選択は正解となりました。(石川・吉澤両方の公演を観ました)

この舞台に関する詳しい情報は、公式サイトのバックナンバーに記載されていますので、そちらをご覧ください。


さて、私はここでこの舞台について何を書いたらいいだろうか…

前に酔っぱらって書いた内容で「観た人にしか分からない」と書きましたが、今でもその思いは変わっていません。
これまでも、私はここで様々なコンサートや舞台のレポを書いてきましたが、それは自分が観たものの素晴らしさを出来るだけ多くの人に知ってもらい、その感動を伝えたいという意図があります。しかし、実際はそれらの内容も、観た人にしか分からないものであったといえると思います。
しかしこの『何日君再来』は、特にその思いを強く感じます。それはこの舞台が、その中で演じられた全てにおいて、その時その時の、まさに一瞬の中に込められた表現者の魂」によって成り立っていたからではないかと思います。
その時その場所で、込められた人の魂を再現することはできません。だから人は何度も舞台に足を運ぶのだと思います。その時その場所でしか感じることのできない魂を感じとるために…

私はほとんどTVを見ない人間なので、筧さんといってもCMで見るぐらいの印象しかありませんでした。今回初めて舞台での筧さんを見て、「舞台人とはこういうものか」というのを理解しました。
この公演のプログラムで、宝塚歌劇団・演出家の木村信司さんは、「舞台人は舞台に現れたものが全て」石川梨華に寄せています。まさにその言葉通りの姿でした。筧利夫という舞台人の全てが、観客にぶつかってくる。人の心を動かさないわけがない。その姿は私の胸の奥に深く刻まれました。

二人ともそれぞれ自分の個性を活かした演技でした。石川梨華は、情に訴えるような感情表現が印象的であり、吉澤ひとみは真摯で曇りない姿が印象に残っています。「アイドル」であるという個性を活かした魅力は、この舞台でも十分に発揮されており、面目躍如といったところでしょう。

ライセンス改めザ・ちゃらんぽらんの一人。吉本所属のお笑いタレントの方ですが、この舞台でもその個性を活かして、「笑い・泣き」という喜劇人が表現する要素を非常に上手く演じていました。

…美しい。2年前までは宝塚歌劇月組トップスターだった方ですが、もう男役であったことが信じられないほど美しい姿だった。そしてその情念のこもった演技も素晴らしく、見惚れました。

JJのモデルでもあるということですが、この人もまた「舞台に生きる人」なのだろう。舞台に生きる者には共通して、観る者の心に対して訴えかける「強さ」があると思う。この舞台を観た人の多くが、彼女が弱冠18歳(現在は19歳)であることに驚いているが、その強さには年齢は関係ないのだと思う。その強さに魅せられた者は、また彼女の舞台に足を運ぶだろう。


その他、テレサ役のen-Rayや、他の役者さんも全て素晴らしかったのですが、全ては書ききれないので、役者さんの話はここまで。


この舞台で語られていたものは、今日の表題にもなっている「同胞(トンバオ)」というもの。簡単にいえば「仲間」だ。
「仲間」とは何だろうか? この舞台では、中国人、台湾人、韓国人、そして日本人と様々な地域の人間が登場する。そしてその間での争い、憎しみ、悲しみが舞台上で繰り広げられる。
しかし、この舞台の主人公・日向英一郎は言う。

「俺たちは同胞(トンバオ)なんだ!」

人は生まれて死ぬまでに、どれだけ仲間と呼べる人に出会えるだろうか…? その仲間を繋ぐものは何だろうか…? この舞台は、それを「歌」を通じて語っていた。

やはり観る者にしかそれを感じ取ってもらうことはできない。将来BS hiで放送される予定だそうだ。ぜひ多くの人に観てもらいたいと思う。

高橋愛はこの舞台を観て、何を感じ取っただろうか…? 願わくば彼女の将来につながるものを得てくれていたらいいと思う。きっと得ているように思う。
彼女もまた舞台に生きる者の同胞(トンバオ)なのだから。