宙組公演『 A/L(アール)』−怪盗ルパンの青春− / 梅田芸術劇場シアタードラマシティ
「奴はとんでもないものを盗んでいきました。・・・あなたの心です」
これは今や誰もが知っている銭形警部の名セリフです。このようにフランスの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンは、日本においても形を変えて現在でも人気の存在となっています。
今回の公演も、そのアルセーヌ・ルパンの若き日の物語という設定です。
なぜ怪盗ルパンは、時を超えて、国境を越えて、多くの人の心を魅了するのか…? 今回の公演を観てそれが少し分かったような気がします。
今回、ルパンを演じるのは宙組の新しいトップスター大和悠河さんです。
…コレモンですわ。去年の9月からずっと宝塚歌劇を観てきましたが、現在のトップスターの中でも「華」という面では一番じゃないでしょうか。そのルックスそのものがまさにスターという感じ。
立ち振る舞いも凛々しく、そして今回の役では若々しさもあって観るものの心を惹きつけます。
対する相手役は今回から新しく娘役トップになった陽月 華さん。
やはりトップになったばかりということか、これまで私が見た娘役トップの人から感じられた共通のオーラみたいなものは、まだ無かったように思います。でもこちらも若々しく、また途中でバレエを美しく踊る姿は、これから大和さんとのコンビが素晴らしいものになるのを予感させます。
では、その他の方々について
- 悠未ひろ 色男。今回は悪役のレオン公爵をやっぱり色男で演じられてました。
- 北翔海莉 やたら陽気なホームズw シャーロック・ホームズはもっと理知的なイメージがありましたが、最後まで陽気でしたw
- 和音美桜 かわいい。おめめパッチリでなんか浜崎あゆみみたいでしたw 途中のカゲソロはさすが。
物語は若き日のルパン=ラウル・バラン青年が、怪盗紳士ルパンになるまでを描いていますが、全編を通じてそれを演じるトップスター大和悠河の魅力を表現する舞台となっています。…ファンの間では、その歌唱について問題視されることもある方ですが、私が今日聴いた限りではそれほど拙い面はなかったと思います。
それよりも、やはりあのスターとしての華ある姿に惹かれます。
舞台ラストで、シアタードラマシティお馴染みの全員がまた客席に降りてくる演出がありましたが、舞台へ戻り際に大和さんが客席に向かってウインク一発! それに「キャー!」の黄色い声。…そう、これ。これですよ。スターと呼ばれる者はやっぱりこうでないと…
怪盗ルパンになぜ人は惹きつけられるのか… それはただ物を盗むだけじゃない。大胆に犯行予告をして金持ちから宝石を奪い去る… そしてそれをある時は貧しきものに分け与える義賊としての姿。そんな誰もが成し得ないことを華麗にやってしまう姿が、人の心をも奪い去ってしまうのではないでしょうか… 人の心を奪い去る怪盗紳士 …それがルパン。
それはまさに宝塚トップスターも同じ。ファンの心を奪い去ってこそスター… 今回の若き日のルパンは、新生宙組の新しきトップスター大和悠河そのもの… そんな気がしました。きっとこれから数多くのファンの魂を奪い去る舞台を作っていってくれると思います。
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