至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

『牢番ピエール』 …その正義と友情

ソクラテスという哲学者がいる。彼は無実の罪によって処刑されることになり、毒杯を飲まなければならなくなる。その時、弟子に逃亡を勧められるのだが、彼はこう言った。

『大切なのはただ生きるのではなく、よく生きることである』

そうして自ら毒杯を飲み死を選ぶ。…正直なところこれだけみればただの「偏屈おやじ」だ。逃げようと思えば逃げられるのに、わざわざ無実の罪をかぶって死ぬことを選ぶのだから。
ただし、彼の教えは今日までずっと伝え続けられている。この「よく生きること」とはどういうことなのか…? それは、このミュージカルで牢番ピエールが教えてくれる。

ピエールはしがない牢番の一人だ。安い給金で幼い兄弟達を一人で養っている。当然、給金だけではやっていけないので囚人達からいわゆる「袖の下」をせしめて暮らしている。そこにサファイアと王妃が連れてこられる。

初めは、どうせ権力争いに負けて落ちぶれた鼻持ちならない王族の成れの果てだとしか思っていません。しかし、牢の中で憎しみに満ちたサファイアを諭す王妃の言葉を聞き、心の奥に眠っていたある心が目覚めます。

自分達の保身のために多くの民を殺したのかというピエールの問いに王妃は答えます。

そんなことをしたら「生きる資格」がなくなると… その言葉により「生きる資格」とは何であるか思い出したピエールはサファイア達を毒殺することを思い止まります。

「生きる資格」とは…

『人はただ生きるのではなく、正しい心を持って生きなければならない』

…そう、ピエールの中で『正義』の心が再び目覚めたのです。幼い兄弟を養うため殺さなければならなかった正義の心が…

もし命令に背いたら、自分だけでなく兄弟達も危ういかもしれない。しかし彼は自分の正しき心に従います。これはまさにソクラテスがその死をもってして私たちに説いた姿と同じです。

「よく生きること」とは「正しく生きること」

です。人は正義の心を持って生きなければならないのです。そしてさらにここでは「友情」も語られます。同じ牢番仲間に彼は責められます。なぜ自分一人だけが危険を冒すのだと…

そう、仲間にも彼の正義の心が伝わるのです。友情とは

「損得の感情なく、相手を思いやる心」

です。牢番達は「友情」の尊さも教えてくれるのです。

「ギブアンドテイク」という言葉がある。それ自体は別に問題はないのですが、人は時として損得に左右されない心も持たなければならない。それは「正義」という精神によってもたらされるものです。

私はまた、このミュージカルが教えてくれるものの中に「正義」と「友情」を付け加えなければならない。 …一番最初にこのミュージカルのレポートで書いたことをもう一度ここで書きます。

このミュージカルでは、人のすべてが語られている