花組公演 ミュージカル・プレイ『復活 −恋が終わり、愛が残った−』−レフ・トルストイ作「復活」より−/レビュー・ファンタシーク『カノン』−Our Melody− / 宝塚大劇場
2012年は花組公演からのスタートとなります。
まず芝居の方はトルストイの作品をミュージカル化したものとなります。 ・・・さすがに正月からトルストイは少々重かった印象です(^^;
ストーリーとしてはロシアの貴族であるネフリュードフが自分の過ちによって不幸にしてしまったカチューシャに対して文字通り献身的な贖罪を貫く・・・というような内容です。うーむ、当時のロシアでの思想背景も絡めて理解しなければならない話だと思いますが、いつもの宝塚的な展開を期待していると少々違和感を感じる作品となっています。
しかし全体として花組の芝居巧者がそれぞれの役をしっかり演じきっていて見応えのある作品となっています。たまにはこういうのもありなんじゃないでしょうか。
ではキャストごとの感想を
主人公のネフリュードフ公爵ですね。まあ最後までカチューシャのために私財をなげうってまで贖罪を貫きます。それは自身の心の平穏のためなのかカチューシャへの愛なのか・・・ この辺りは作品全体としても人間としてどうあるべきなのかというテーマとなっているように思います。それを宝塚歌劇としてどう締めくくるのか難しいところですが、最後はまあ一応将来に希望を見出す結果になっています。そういう宝塚歌劇としても難しい役どころを、いつもながらの誠実な姿で堅実に演じていたと思います。
ただ初日ということもあってか固さも目立ってセリフのミスも多かったです。もう少し力を抜いて敢えて弱い部分も見せる演技にしてもいいんじゃないかな? ちょっと一本調子だった印象もあります。公演が進むにつれてその辺りも変わっていくかもしれません。
- エカテリーナ・マースロワ(カチューシャ)/蘭乃はな
今回のヒロイン、カチューシャ。もともと主人公の家の使用人で、公爵に見初められたものの行き違いによって不幸な人生へ転落してしまい娼婦に身をやつすことになります。その転落ぶりの演技がなかなか見応えあるものでした。蘭はなちゃんといえば可愛い印象が強いですが、娼婦に堕ちてからの演技は「こんなのもできたの?」って感じの変貌ぶりで必見です。最後の選択も宝塚的には理解に苦しむところもありますが、物語全体を通じては説得力を持たせる演技で良かったです。
- シェンボック/壮一帆
主人公の友人。一見おちゃらけで不真面目そうで実は良い奴という役は壮さんのお得意とするところで、前に演じた『麗しのサブリナ』のディヴィッドを思い出しました(^^) 身を投じて贖罪する親友の姿に初めは違和感を感じながらも協力し、徐々にそれに感化されていく姿を好演しています。そして今回の銀橋ソロは魅力をふんだんに発揮した必見のものになっていると思います。
- ウラジミール・シモンソン/愛音羽麗
みわっちは今回は完全に脇役ですが物語的には重要なポジションでありラストの重要な展開に関わる革命家を実直に演じています。・・・シナリオ的にもうちょっとカチューシャとの絡みを織り交ぜていたらラストの展開にさらに説得力があったのになあ・・・ ちょっとおしいです。
- ファナーリン/華形ひかる
今回、個人的に評価したいのがこのみつるくんが演じる弁護士。最初から最後まで主人公とともにカチューシャの無罪を勝ち取るために尽力する弁護士の姿を好演しています。うーん、さすが芝居巧者のみつるくんだけあって何をやらせても上手い。眼鏡もよく似合ってました。
主人公の古くからの友人で物語的には重要なターニングポイントを演出する役回り・・・ だけどあまり印象深くなかったかな。このあたりは演出の仕方もあるでしょう。
- アニエス/月野姫花
退団が決まっている姫花ちゃんもシェンボックの恋人役で終始可愛らしい姿を披露していました。この姿も見られなくなると思うと寂しいですが最後まで舞台に花を添えてほしいと思います。
以上が主な役の感想となります。あとは主人公のフィアンセ役を演じる実咲凜音ちゃんが今回もかなり推されている印象。将来は、みりおんが中心になるんだろうなあ・・・ 刑務所の警備隊長役のだいもんくんも脇を締める存在感があって良かったです。あと専科の京三紗さんもさすがの演じっぷり。
というわけで正月最初の花組作品は、見応えある芝居となっております。それぞれ興味ある役者さんにフォーカスして観るのもよいかも。
ショーについてはまた機会があればw