明治座NEO時代劇 『HAKANA』〜「いとしの儚」より〜 / 明治座

今日は明治座でHAKANAの千秋楽を観てきました。座席はなんと最前ど真ん中。娘。コンのチケは3Fとかばっかり送ってくるくせに、何故かミキティの時は観覧当選するとか相性のいい私。
それにしても、娘。コンでは遠征しないくせにミキティの舞台だと飛行機に乗ってまで観に行く私はいったい誰のファンなんでしょうか？（＾＾；　高橋愛のファンであることは変わりないんですが、彼女のアイドルとしての活動には興味が薄くなってしまった私にとっては、どうしてもこういった舞台の方に足が向いてしまいます。

さて、今回の舞台ですが藤本美貴が座長です。いや大したもんだ。そして今日、千秋楽の舞台を観終わった今、藤本美貴がこの舞台の仕事に携わることができて本当に良かったなって思います。ガッタスの活動はあったにせよ、広く一般に対して藤本美貴として活動するのは、この舞台が最初だと思います。そういった意味では、モーニング娘。でなくなった個人としての藤本美貴に何ができるのか？、どこまでできるのか？っていうのが問われる仕事だったと思う。

そういう背景の中で、今回のこのHAKANAの舞台は藤本美貴のまた新しい可能性を十分に知らしめる内容だったと思います。

博打打ちで人間としてはどうしようもない鈴次郎が、鬼との博打に勝って手に入れた絶世の美女「儚（はかな）」。彼女は死体を集めて造られた人外で、生まれて100日間は抱いてはいけないという存在。100日またずに抱いてしまうと水となって流れてしまう「儚い」存在だが、生まれたばかりですぐ死んだ赤子の魂が宿った天真爛漫な心を持っている。そんな彼女の存在に触れることによって、人間の屑同然だった鈴次郎の心が次第に溶き開かれていく…　しかし人の夢は脆くて壊れやすい…　だから儚いもの。

…こんな感じの話です。

その中で「儚（はかな）」を演じた藤本美貴はどうだったかというと、全体として「大人の役者」として舞台を務めていたのが印象的でした。冒頭の体のラインをさらけ出した登場シーンも驚きましたが、最初の天真爛漫な子供の心を持った儚から、成長して鈴次郎を一途に思う女の儚まで、幅広く演じきっていました。その容姿も美しく舞台映えするし、一人の役者として十分に魅力ある存在であったと思います。しいて今回で改善すべき点を挙げるならば、セリフの所々でたまに「棒読み」になるというか、役が抜けるというか、そんな所が見られたことでしょうか。
舞台の中では、アイドル時代にはNGだったような際どいシーンも少しありましたが、そういう事もアイドルで無くなった藤本美貴だからこそ出来るものであり、今回の舞台はやはり彼女にとって一つ大人の存在としてのスタートを切ったものだと思います。そしてそれがこの『HAKANA』という作品であったことが良かったと思います。

他の役者さんでは、まず鈴次郎を演じた大口兼悟さん。実質、主役的な存在でしたが、博打にしか生きる術を見出せない破滅型の鈴次郎を、若さと粗野な魅力溢れる演技で表現していて良かったと思います。少々、荒すぎて雑なところもありましたが、かなりの熱演でした。

それから青鬼を演じた山本 亨さん。何日君再来では台湾マフィアのリーダーを演じてた方ですね。あいかわらず声が渋いし、舞台の全体を支える存在感が大きかったです。

その他はレイザーラモンの二人もいい味出してたし、元宝塚歌劇の渚あきさんや片岡サチさん。松澤一之さんとか、あと劇団キャラメルボックスの多田直人さんとバラエティに富んだ布陣でした。グループ魂の村杉蝉之介さんも出てます。

歌手としてはアダルト歌謡として『置き手紙』が発売となって、そちら方面での活動もスタートした藤本美貴。これからもいろんな方面での活躍が期待されます。存分にその実力を発揮していったらいいと思う。やっぱり藤本美貴はステージで明るく活躍してる姿が一番似合うよ、そう思う。

最前で貰った瓦版