至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

東宝ミュージカル『モーツァルト!』 / 帝国劇場

いや、まさかミュージカルを観劇するために遠征までするようになるとは思いませんでした。今回の観劇のきっかけは、以前に観た宝塚歌劇の専科エンカレッジコンサートで、一樹千尋さんが歌われた『星から降る金』が素晴らしかったので、それをもう一度聴きたいということからでした。
それ以外にも、『エリザベート』を作ったミヒャエル・クンツェ/シルヴェスター・リーヴァイ コンビによる作品であるので、そういった面でも期待があります。

モーツァルトといえば、言わずと知れた音楽史に輝く天才であり、その劇的な生涯から多くの創作物によって採り上げられることが多い人物です。私自身はミロシュ・フォアマン監督の映画『アマデウス』が凄く印象に残っています。(昔、日曜洋画劇場で放送されたときの淀川長治氏解説付きの録画ビデオは未だに持っている)

その天才の生涯をミュージカル化したのが今回の作品です。全体の印象としては『エリザベート』もそうでしたが、歌曲の比重が高く、内容のほとんどが歌で占められます。そしてその歌曲が哀愁を漂わせた旋律で、どちらかというと日本人好みのものが多くあります。そういった面から特にこのミュージカルは日本で人気なのではないかと思います。そして、前の『エリザベート』の時にも書きましたが、シルヴェスター・リーヴァイ氏の曲は凄く日本語と相性が良いと思います。

ミュージカル全体の演出で特徴的なのが、主人公のモーツァルトに必ず“アマデAmade”と呼ばれる5歳の頃の自分自身の姿が付きまとうこと。これはモーツァルトが生涯、5歳の頃より見出されたその天才的才能に自身が苛まれたことを象徴しています。モーツァルト自身は宮廷衣装ではなく、デニムのジーンズ姿で登場するという奇抜な演出も特徴的です。ミュージカル中のシーンで、ことあるごとにアマデとモーツァルトが絡み合い、「天才」の自分と「人間」としての自分とが葛藤する姿が描かれます。

楽家としては天才的才能を持ち、その名声を欲しいままにしたモーツァルトも、一人の人間として家族の愛や配偶者との愛を手に入れることは、その才能があるゆえに妨げられ苦悩に満ちたものであったことが、このミュージカルでは語られます。今回の作品の主題となる曲『影を逃れて』は、そんな「天才」という自分自身の影から逃れたい、「人間」としてのモーツァルトの心情を歌い上げたものです。

このように、今作品は天才モーツァルトの存在を、一人の人間として表現することによって、そこに存在する家族愛や配偶者との愛の美しさや尊さや悲しさを表そうとした作品ではないかと思っています。


では、出演者ごとの感想を。

今回の上演では、主人公モーツァルトは交互出演となっており、もう一人は井上芳雄さんとなっていますが、私が観劇したのは中川さんの方です。
さすがに伸びのある歌声で、高音も美しく素晴らしい歌唱でした。特に最初の『僕こそ音楽 Music』と、やはり『影を逃れて』の歌唱が印象に残っています。人間モーツァルトとして苦悩し、最後まで愛を求め続けた姿を繊細に演じられていました。

モーツァルトの姉ナンネール役。実は私は高橋由美子さんとは縁がありまして、大学時代にアイドルヲタの友人にそそのかされて、当時アイドルだった高橋さんの写真集を買ってしまったことがあります!(衝撃の事実) その写真集はもうどっかにいっちゃいましたが、そんなわけで私の中では、当時の印象がそのまま残っている部分があったのですが、今回の舞台を観て印象が変わりました。
まず凄く歌が上手い! こう言っては失礼だが、元アイドルとは思えない歌唱でした。今回の作品では、主要な役柄の人にはそれぞれソロ歌唱があるのですが、ナンネールは『プリンスは出て行った』という曲があります。愛する弟との絆が薄れ、家族が離ればなれになってしまう悲しみを、優しさを交えながら表現されていました。

モーツァルトの父レオポルト役。市村さんというと、私の中では未だに劇団四季の印象が強いのですが、さすがベテランという感じで厳格ではあるが、息子への愛に溢れた父の姿を隙のない演技で表現されていました。ソロ曲は『心を鉄に閉じ込めて』

当時の貴族社会における象徴的な存在を、大きな存在感で演じられていました。数々の有名なミュージカルに出演されている方であり、その歌唱も素晴らしかったです。ソロ曲は『神よ、何故許される』

  • hiro/コンスタンツェ

モーツァルトの妻コンスタンツェ役。元SPEEDのhiroさんです。最初に出てきた段階では、結構舌足らずな歌い方で、ちょっと物足りないなあとか思っていたのですが、どうやらそれは役柄上の演出部分もあったようで、後半は本領を発揮してきます。その歌い方は、どちらかというとミュージカル的というよりは、やはりRockシンガー的なものを思わせるものでしたが、SPEED当時と同じく、ハリのある歌声で若いコンスタンツェの奔放な性格を表現していました。ソロ曲は『ダンスはやめられない』

モーツァルトの才能を早くから見出し、支援する存在。今回の上演では、涼風真世さんとの交互出演となっています。今回の観劇の一つの目的であった『星から降る金』を聴きました。
いや素晴らしかった。これは今現在の私が宝塚歌劇ファンということを抜きにしても、今回の舞台の中でも一番に値する歌唱ではないでしょうか。
息子モーツァルトを思い、その思いが強いが故に自分の手元に引きとめようとする父レオポルトに対して、「愛とは解き放つこと」と訴えかけるこの曲は、その旋律の美しさもあって特に私の心に残っています。
香寿たつきさんは、私はエリザベートのDVDでしか観たことがなかったのですが、おそらく現役時代も歌唱に定評のあった方ではないのかなあと想像します。


と、いうことで今回非常に楽しめました。宝塚歌劇と比べると東宝ミュージカルは、派手さはないですが手堅くまとめられていて上品な印象があります。(宝塚歌劇が上品ではないという意味ではありませんので(笑)) オープニングの出演者全体の歌唱なんかは、あまりにまとまっているで最初は録音したものを流しているのかと思ったぐらい…(笑)

来年はまた『エリザベート』が上演されますが、それもぜひ観にいきたいと思います。


さて、そして今日は新宿にいます。東京厚生年金会館娘。コンをやりますが、チケットは無いけどとりあえず顔は出してみるかな…