至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

だいぶマジメな話

以前に紹介して、「今後の内容も注目」と言ってたわりに忘れていましたが、日経BP社のサイト"ITpro"での連載をまた紹介。

第3回:「才能の無駄遣い」を人材開発の視点で考えてみた


筆者:小林 陽子氏

みずほ情報総研コンサルティングコンサルタントシステムアナリスト。企業内人材育成や人事制度設計を中心に,戦略策定などのコンサルティングを展開中。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

みずほ情報総研の連載の第3回。今回も『初音ミク』をはじめ、『ニコニコ動画』で展開している様々な要素について、企業の立場から注目すべき点を挙げて解説している。

まず,図1を見て欲しい。これは現在話題となっている「初音ミク」作品の投稿数をグラフ化したものである。発売後わずか1カ月半で,数千もの作品がニコニコ動画に投稿された。投稿数だけで生産性を語ることはできないが,3次元CGでアニメーションする初音ミクなど,質の高い作品もかなり含まれている。


図1●初音ミク関連作品の投稿数推移
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/3_zu1.jpg

この図を見ても分かるように、ずっと右肩上がり。今は、はっきり言って全部は追えません。私はどうしてるかというと、好きな作者さんのマイリストや好みのジャンルのタグなどをブックマークして、それをチェックするようにしています。そのやり方だと「埋もれた名作」に気づきにくくなるデメリットがありますが、しょうがない。そういうのは別途「ランキング動画」や、口コミ(はてブ2chmixi)などで補っています。それぐらい投稿の数がハンパじゃなくなってる。

ニコニコ動画の投稿作品は,多くの“素人”作者によって作られている。中にはプロもいるようだが,彼らにしてもあくまでも“趣味”として動画を作っている。金銭的な見返りを期待せずに,もくもくと作品の作成と改良にいそしむ作者がそこにはいる。作者に励ましやアドバイスを送る観衆も,当然ながら無報酬だ。ニコニコ動画はこのような無私の行為が自然に行われる場なのである。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

これは前の更新で書いた「同人」という文化としての側面だ。有名な同人作家の中には、それでプロのような収入を得ている人もいるかもしれないが、ほとんどの人は利益というものは最優先事項ではないだろう… 「好きなもの」を好きな人同士で楽しみながら、ワイワイ楽しく交流しているのである。

このゆるい場では,すばらしいアイデアや技術を持つ人,生み出された優れた作品などに対して,他の参加者から賞賛が惜しむことなく贈られる。作品を生み出した側も,この無形のリスペクトを糧に次の作品へまたエネルギーを費やす。こうした相互の信頼関係のなかで,「意欲の喚起」が常に行われている。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

ここの内容は注目すべき点です。ここでは「ゆるい場」と書かれているが、私自身は前に「自由」と表現しました。男も女も大人も子供もジジイもババアもない。日本人も韓国人も台湾人も、ニコニコ動画では皆、平等だ。社会的地位も関係ない。皆、「増田さん Anonymous」だ。そういった自由でしがらみのない世界で、ただ自己の努力と才能だけが存在し、素晴らしいものには正しい賞賛が贈られる。…私はこの世界を「ある意味、実際のプロの世界よりも健全だ」と書いた。

私も自分自身の仕事の世界においては「プロフェッショナル」の一人だが、その世界では、努力とか才能以外の様々な要素も絡んでくる。例えば、ずっと取り組んできた仕事が、ある日突然、社長の鶴の一声で仕様変更となったり、最悪の場合、仕事そのものが無くなったりすることもある。「理不尽」なことが「プロ」の世界では結構あるのだ。それはもちろん様々な利害関係があるからだけれども、それが無い「ゆるい世界」である『ニコニコ動画』は、そういう人間からすると結構、魅力的に見えるのだ。それが「意欲の喚起」に繋がっているのではないかと思う。

ニコニコ動画ではプロ級の素晴らしい作品に対して,しばしば「才能の無駄遣い」というタグが貼られる。この言葉には,「その才能やエネルギーをもっと別のことに使えば金銭的な利益を得られるかもしれないのに,あえてそれをやらず,好きなことに打ち込む作者は素晴らしい」といったニュアンスが含まれている。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

ここも注目だ。私も才能の無駄遣いのタグはチェックしているし、ここの更新でも挙げたけれど、その言葉の意味を簡潔に、しかも余すところ無く表現したこの説明文は見事。…余談ですが、私も結構、ここで長文を書くことがあるけれど、こういう分かりやすい文を書くように努めたい。長々書いた文を読んだ人から「で、結局お前は、ひと言で言ったら何がいいたいねん?」と質問されて、それに答えられないようなら、その長文に価値はないと思っています。(そうならないようにしているつもりですが…(^^;)

実は日本企業では,昔から研究室に泊まり込んで寝食を忘れて開発に熱中したり,業務時間終了後も勝手に居残ってQC活動に取り組んでいたりする社員が多数いた。デジタルカメラプラズマテレビのように会社非公認のいわゆる「アングラ研究」から生まれた大ヒット商品も数多い


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

プロジェクトX」でも紹介された日本ビクターの"VHS"とか、ミノルタの"オートフォーカス"とか、カシオの"QV-10"とかですな。いわゆる「闇研」ってやつだ。最近は残業問題がクローズアップされているけど、「やらされている」のと「好きでやってる」の違いは『ニコニコ動画』を見れば明白ですね。

もちろん「才能の無駄遣い」は仕事以外での活動だからこそ「無駄遣い」できるとの意見もあるだろうし,今は企業で「無駄」な残業が認められる時代ではない。しかし,信頼関係を醸成し,やりがいのある場を職場内に作り,生産性を高めたいと日頃から考えている経営者層にとって,ニコニコ動画で起きている動きには考えさせられる面も多いはずだ。では,どうすればこのような場が生まれるのだろうか。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

ここよここ。ここが一番のキーポイント。「ニコニコ動画」見て「あー面白かった!」で終わってたら私と一緒(笑) そこはさすがに、みずほ情報総研。…で、どうやったらいいの?(ワクワク)

企業内にニコニコ動画的な場を作り出すためには2つの要素が重要だと考える。つまり,「コンテンツを中心とした可視化を行うこと」「匿名で人と人との距離感をうまく作ること」だ。この2要素をITシステムなり,社内の仕組みなりでいかに実装するかがカギとなるだろう。


(強調は私が入れました)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

…難しいこと言うね、この人。具体的にはこのあとに説明が続く。まず最初の要素ついては、「匿名の社内ブログ・SNS」の導入を挙げている。
実は、ウチの会社にも似たようなのがあるが、ほとんど利用されていない。と、いうのは「告げ口箱」のような感じになっちゃってるからだ。詳しく書くといろいろ問題もありそうなので止めておきますが(笑)、要は「慣れていない」からどうやったらいいのかイマイチよくわかっていないんだと思う。会社ってのは、「責任を果たす場所」だから、そもそも匿名なんてことは許されない所だ。責任を果たすってのは「求められた結果を出す」ということ。いつも私が言っている「プロは結果を求められる」ですな。

そんなところに、いきなり「自由に何でも言ってもかまへんでー」と言われても、なかなか誰も言いませんよ(^^; だから、これは組織のトップが主体となって導入を推進していくようなことがないと、うまくいかないと思う。…だけど、今のトップの人は「ニコニコ動画」に注目してそこまで考える人はいるのかなぁ…(笑)(この連載がある程度、啓蒙することに繋がっているとは思うが)

常に人が通るところにあり(=可視化),誰が書いたかに関わらず(=匿名),人の書いたものが気になれば補記する,間違っていれば直す(=ツッコミ)。その中から企業の次のビジョンが生まれたり,製品のアイデアが生まれてくる。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

これはWeb上ではズバリ"Wiki"のことになるわけだけど、これを企業内で実現するとなると、実は結構難しい。こういったことをやろうという意味のナレッジツールは結構あるけど、じゃあそれらが上手く活用できて効果を発揮しているかというと、それほど実際の成果が顕著な例というのはあまりないように思う(私が無知で実際には有効活用している企業もあるのかもしれないが)

ここで一番難しいのは「可視化」ではないかと思う。例えば私がなんか良いコンテンツを作ったとする。じゃあそれを見てもらうにはどうするか? 普通の会社なら「掲示板」に投稿するとか、共有サーバに置くとかが普通ではないかと思いますが、「常に」というのが難しい。
大きな会社になればなるほど、それぞれ見ているものが違う。「結果を出す」ことが目的だから、それ以外のことに時間を費やす余裕がない。結局、「そこにあるけど見ていない」ということになる。

そのためには,まず企業経営者は社員を信頼し,好きなことに打ち込める自由な環境を提供する必要があるだろう。
(中略)
最近は,いかに企業内に統制をかけてゆくかが話題となることが多い。しかし,社員を信頼し,ある程度のゆるい場を提供することが社員のモチベーションを高め,予想もつかないようなスピードで質の高い成果を生むかもしれない


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071105/286363/

いやあ〜、これは理想といえば理想だけど、なかなかそうはいきませんですよ(笑) その「ゆるい場」を存在させる余裕がないところが大半だろうし…(^^; (特に今の経済状況では) 「…かもしれない」って、アンタ、もしそうならなかったら責任とってくれますのん?って話だ(笑)

しかし、前にも言ったように、こういう概念で物事を考える、捉えるということは大切だ。「やれー、いけー、業績あげろー、働けー、なんでもやれー」って時代ではないということ。それを間違えると、どっかのお餅屋さんみたいなことになってしまう。

少しずつでもいいから「ゆるい場」を作る努力もしていかないと… 行く先の分からない「ゆとり」ではなく、あくまで「やりたいことが出来る」場所。そうすると会社に行くのが、『ニコニコ動画』を見るのと同じくらい楽しくなるかもしれない。(かもしれない)


まあ、ウチの会社は100年後も今のままのような気がするけどな(笑)