至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

ちょっとマジメな話

ここんとこWeb上の話題を独り占め状態の『初音ミク』ですが、とうとう日経サイトまで出てきました。

第1回:「初音ミク」に注目すべき理由を考えてみた

筆者:吉川 日出行氏

みずほ情報総研コンサルティング部シニアマネジャー

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/

おいおい、みずほ情報総研の人が書いてますよ。なかなか興味深い内容なんで順を追って見てみよう。

本稿では企業の人間が注目すべきポイントを1つ紹介したい。それは,ニコニコ動画で自然発生的に起こっている「コンテンツのマッシュアップ式開発手法」である。マッシュアップとは,既存のいろいろなコンテンツを,自分で新しく作ったものと組み合わせて新たな作品を生み出す手法だ。筆者はニコニコ動画マッシュアップ式開発手法が,企業における集合知活用型製品開発手法として応用できるのではないかと真面目に考えている。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/

マッシュアップ」 …今日もマイクロソフトマッシュアップツールのβ版を公開したとかいうニュースがあったけど、今後もそういった流れは続くだろう。現在提供されている様々なAPIも、その一部だ。「はてなマップ」なんかはマッシュアップの例といえる。…そして筆者は、そのマッシュアップという手法がニコニコ動画上で行われていて、それが企業にとって有効な手段となるのではないか、と言っている。それは具体的にはどのようなものか…?

ニコニコ動画には良質の作品を生み出す作者だけではなく,それに対して確かな鑑定眼をもつ観衆,適切なアドバイスを送る者といった様々な人が集う。良き作品を生み出すために必要な要素がほとんど揃っている。この良い観衆を求めてさらに多くの作者が集まり,投稿動画のレベルがますます上がってゆく

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/

まずはこれ。私が初めてニコニコ動画を見たときに一番驚いたのが、その即効性。今アップしたものにすぐ反応がある。まさに2chの実況のノリだ。つまりニコニコ動画は「2ch実況+Youtube」ともいえる。これは面白いと思った。そしてその反応に対して作り手側も敏感に反応していくことになる。もちろん中にはカスも多く存在するが、それらは2chと同じく淘汰されていく(2chの場合はdat落ち
ただ単に与えられたものを見るだけではなく、それに意見を言い、それがすぐに目の当たりになる。それが作品をアップグレードしていく源泉になる。

ところがニコニコ動画では,そこに投稿される動画の数が増えるに従い,それらを再利用し,マッシュアップ式で作られたコンテンツが爆発的に増えた。再利用は映像や音楽の素材だけではなく,「空耳」や「嘘字幕」「逆再生」といったアイデアの再利用も含まれる。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/

そして、私が今一番魅力的に感じている部分がここだ。ニコニコ動画では誰かがアップした素材をいとも簡単に再利用することが日常茶飯事に行われている。「元ネタ→????」…こんな感じだ。そういった記述すら無い場合もある。普通なら「著作け〜ん」の話になるが、元々著作権問題を抱えているせいか、その辺りは「暗黙の了解」のようだ。「俺も使ってるからアンタも使っていいよ」的なノリを感じる。だが、そういったグレーな表面以上に「自由な空気」を感じるのだ(それは以前にも書いているid:shijo:20070925:1190735836)
そしてその「再利用」が、また新たな素晴らしい作品を生む原動力になっている。

一方,ニコニコ動画では統制者がいない完全にフラットな形で分業が進んでいるのである。これは注目に値する。こうしたマッシュアップ式の試行過程では,当然それを見ている観衆によって良い作品とそうでないモノとが選別される。同時に,各作品への細かな意見や要望が提出され,作者はそれらを次のバージョンで反映し,作品の完成度を高めてゆくのである。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/

つまり評価するのはつねに「観衆」なわけだ。そのリアルな反応が、そのまま作品に反映されていく。どっかのプロデューサーの「俺がこう言ったらこうなんじゃ!」的なことがないわけだ。まさに「集合知」の世界。「こうした方がいいよ」「これはどうだろう?」「これとこれくっつけてみたよ、どう?」「これ面白いと思うんだけど…」 こんなことが毎日行われているのである。見るからに楽しそうじゃないか。


そんな中に、まさに時代に選ばれたかのごとく彼女が現れる… 『初音ミク』だ。

初音ミクの現象をもう少し具体的に説明すると,まず,発売された約10日後には早くも初音ミクのために作曲されたJ-POP風オリジナル曲が発表された。それに刺激された別人がその後10日間の間に次々とオリジナル曲を作曲,9月25日にはかなりレベルの高いアレンジを施された曲もニコニコ動画に登場した。

そしてこの動きに前後してイラストの上手いユーザーが初音ミクのハイレベルなイラストを描きあげ,それをまた別の作者が先ほどのオリジナル曲に組み合わせた。その横では,3次元CGに長けたユーザーが3D化した初音ミクにオリジナル曲を歌わせたプロモーション・ビデオ風の動画を作成した。10月に入ってからは,初音ミクのイメージに合わせたアニメ化のストーリー案やオープニング・ビデオのラフスケッチがこれまた別のユーザーによって提示されており,今後の進化の方向性や質,スピードをまったく予測できない領域に到達している

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/?P=2&ST=ep_webpluse

この怒濤の「マッシュアップ」の姿を、まさに私は「リアルタイム」で体験したわけだ。いやこれは凄かった。(というか今も継続中なんだが)そしてここで提示されている系統図は、かなり幅広い初音ミクコンテンツの分布を示してくれている。先日、私は歌の割合だけパーセンテージで提示したけど、こっちはさらに広い視野になっている。

コンテンツ産業ニコニコ動画でのこのような活動やその結果の作品を“単なるオタクの趣味の産物”だと侮ってはいけない。作品制作に適した良いユーザー(観衆)と,その声の集め方,複数のライン(作者)が同時に走ること,作者のモチベーション維持など,刮目して学ぶべき点も多い。

すでにソフトウエアの分野では,もともとは見ず知らずだった者同士がインターネットを介してプログラムを共同で作り上げるオープンソース活動という成功事例がある。この結果出来上がった「Linux」はマイクロソフトなどの大企業の作ったOSに互して,市場で一定の評価を勝ち得ている。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/?P=2&ST=ep_webpluse

この辺は私と全く同意見ですね。単なるヲタクの遊びと思ってたらダメとか、Linuxとの比較とか…id:shijo:20070925:1190735836 こういう意見をみると自分の物事の捉え方も、まあ正しくできているのかなと改めて確認できます。

コンテンツ分野以外の企業でも“関係のない話”とするのではなく,いつかは自分たちにも影響が及び,かつ活用できる仕組みとして認識すべきだ
(中略)
ほんの数年前に,アニメや楽曲が顔も名前も知らない会ったこともない複数人のコラボレーションによって生み出されることを誰が予測しただろうか。ネットワークを生かした集合知の活用はまだ始まったばかりである。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071018/284847/?P=2&ST=ep_webpluse

まったくその通りだと思う。この知らない者達どうしが集まって、いつしか素晴らしいものが出来上がっていくという「ドキドキ、ワクワク」を敏感に感じ取って、それを自分たちも有効に利用できるような手段がないか考えていかなければならないよ。もちろんそのまま企業内に持っていけるかといえばそうではないけれど、概念的なものとしては理解しておかないと某TV番組を放送したテレビ局みたいに恥をかくことになるよ(笑)

そしてそのコラボレーションが今まさに行われようとしている…

mixi初音ミクコミュニティでは「初音ミクの作品をコラボで作ろう」というトピックスが起ち上げられ、そこにはこれまで素晴らしい作品を創った作者が続々と降臨して様々なやりとりが行われている… ある者は詞を書き、ある者は曲を創り、ある者は映像を創りといった具合だ。 もちろんまだ先行きは不透明な部分もあるが、「熱い」じゃないか!この「熱さ」に私はたまらない魅力を感じる… (^^;

私もなんかで参加する手だてを考えてみるか…   広報担当かな(笑)

この記事は第1回ということで短期連載として続くみたいだから、今後の内容も注目ですね。