雪組公演『SILVER ROSE CHRONICLE』/ シアター・ドラマシティ
CHRONICLEとは「記録」とか「年代記」という意味。今回は代々、ヴァンパイアに恋する主人公の話。
ところで、私は今回の公演劇場である「梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ」が好きです。はっきりいってメインホールよりこっちの方がいいと思う。メインホールは広くて豪華ですが、席によっては角度があって見づらかったり、最悪の場合は機材の影になって演者が全く見えなかったりすることもあるのだ。反対にシアター・ドラマシティの方は、ちょうどいい大きさで演者と観客の間合いもいい感じだし、今回みたいに組が分割されて公演を行ってるときには一番いい場所だと思う。
さて、今回のお話についてですが、主人公はヴァンパイアとか怪奇ものに夢中なヲタクっぽい青年で、それがある日出逢った祖父の恋人そっくりの少女と恋に落ちてしまうというもの。…結局その少女はヴァンパイアで過去に祖父が愛した人そのものであるわけですが、時代を越えた恋愛というのが今回のお話のポイント。（だからクロニクル）
全体を通じて、一幕の展開は凄く良かったのに二幕はメリハリがなくなって後半がダラダラと進んでしまった印象で、凄く惜しい気がしました。後半はもうちょっとヴァンパイアと人間の関係の悲哀とかを前面に出せば良かったのにと思いました。兄のクリストファーとか、パメラとかをもうちょっと上手く使えれば、後半も盛り上がったのではないかと…
では演者ごとの感想を…
- 彩吹真央/エリオット・ジョーンズ
今回の公演では終始、ユミコさんの「上手さ」が光ってました。まず歌唱は言うまでもなくいつもどおりの素晴らしさ。声の伸びもあるし、美しく心地よく響きます。そして、その後の「ヲタク青年」の演技とのギャップがよかった（＾＾） こういうのをやってもユミコさんは凄く上手い。客席は終始沸いていました（笑） またその青年が「電車男」のごとく仲間のアドバイスを受けて美青年に変身する展開もGood！ ヴァンパイアを愛する純情青年の誠実な気持ちがよく伝わってくる好演でした。…個人的に私はこの方が好きです。実力者なのに落ち着いたストイックなムードを持った人で、いつも舞台の価値をしっかりと形づくってくれる方です。今後の活躍も期待してます。
- 大月さゆ/アナベル・クレム
雪組ではもうすっかり娘役ホープの座を確保した印象です。今回は、主人公に愛されるヴァンパイアの役でしたが、あまり吸血鬼っぽいシーンは無くて、普通の可愛い娘でした。歌声も綺麗だしいい感じなのですが、今ひとつ印象が薄いように思います。今回はシナリオがそういう感じだったせいもあると思いますが、もう少し「可憐さ」を出してくれたらと思いました。
- 凰稀かなめ/クリストファー・クレム
…これどこのルシファー？（笑） そう思うぐらい『堕天使の涙』の時のルシファーを彷彿とさせる姿。ビジュアル的には申し分なし。ただ今回はシナリオ的に中途半端な役回りで損してる印象です。最後の展開も唐突だったし… もうちょっと吸血鬼の妖しい魅力が出せる展開だったらテルくんの良さがさらに光ったかも。
- 蓮城まこと/ティム
おや、まだ美穂姉様やキタロウくんの感想も書いていないのに何故先に？ …そうです、今回やってくれましたよー（笑） とにかく一幕のエリオットへの「恋愛指南」のシーンが最高（笑） あのシーンを見たいがために次公演のチケット買おうかと思ったぐらい（＾＾； それ以外に立ち姿も背が高くて綺麗だし華がありました。しかしどうして「きんぐ」なんだろ？（＾＾；
- 緒月遠麻/ブライアン・H・アトリー
今回は一応悪役になるのかな？ 手堅い演技でしたが、こちらもシナリオ的にメリハリがない部分もあってワルっぽさが出し切れない感じでした。ラストのいきなりな展開はちょっとびっくり（＾＾；
- 美穂圭子/パメラ・メイズ
美穂姉様、いつもながらお美しゅうございます。ただ今回ははっきりいって役ついただけでほとんど活躍せずの印象。…もったいない。専科のまゆみ姉さんもそんな感じで、全体として結構もったいない感が多かったです。
- 葵吹雪/ダニエル
あーたんかわいいよあーたん（笑） やっぱりあーたんはこういう役どころなのかな（＾＾； 主人公エリオットと同じ怪奇ヲタクだけどコミカルさを出すのに十分な存在でした。体型的にはあまり変わってない印象…（＾＾；
といった感じで、シナリオ的には不満な点もありましたが、演者は皆、活き活きとしていて良かったです（特にきんぐ（笑））
あー、でも最後にもう一つだけ不満点を。…せっかくのドラマシティ公演だったのに今回は「客席降り」が無かったヽ(`Д´)ﾉ 通路席だったのにぃ〜 …次は入れてね小柳先生。ではまた。
