みっくみくにしてやんよ
もうすっかり"Web2.0"なんて言葉も忘れてしまうほど、Web上での様々なCGMが当たり前の世の中になってきましたが、私はどちらかというと、そういうのに興味がある割りに保守的な考え方の持ち主で、一つの所に落ち着いたらあまり行動はしないタイプです。
だからブログも「はてな」に落ち着いたらそこから動かないし、YouTubeが時代の寵児となっても、よく見たのは最初だけでここ最近は全く見てませんでした。…それはニコニコ動画も同じで、始まった当初は「これ凄え!」と思ったものの、アカウント制になってからは従来の面倒くさがり屋気質もあって、ほとんど見ていない状態でした。
ところが、先週の連休、久しぶりにアクセスしたところ何やら面白いものがブレイクしている。
…そう『初音ミク』だ。
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- 発売日: 2007/08/31
- メディア: CD-ROM
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しかし私が惹かれたのは、その技術じゃなくてそのコミュニティの盛り上がりそのもの。まずは作品を見てみよう。(ニコニコのアカウントの無い方にも見られるようYouTubeで)
恋スルVOC@LOID
みくみくにしてあげる♪
おしえて!だぁりん
あなたの歌姫
これらの作品に共通するのは、全て「オリジナル」だということだ。当然、中にはいわゆる「本職=プロ」の人もいるだろうが、Web(主にニコニコ動画)のなかで自身が作詞・作曲したものを自由に発表して、喝采を浴びているのである。
どうだろう? まずはそのレベルの高さに驚かされ、次にその自由な空気に魅せられる。皆、音楽が好き、歌が好き、可愛いものが好き、楽しいものが好き… そんな思いだけで「初音ミク」という人工のアイドルに魂を吹き込んで、そこに生命の息吹を感じさせるものにしているのだ。
私は、それこそ古くはパソコン通信の時代からネット上で形成されるコミュニティと、そのパワーから生み出される数々のモノを見てきているが、そこには本当にいつもドキドキ・ワクワクの感動がある。
インターネット上のコミュニティが創り出したものの中で最も成功したものは『 Linux 』だと思うが、この『初音ミク』にはかつてのそれや、現在も進行中の『 Ruby 』に似た熱さが感じられる…(ちょっと大げさな言い方かもしれないが)
ただのヲタクのお遊びと思ってたらダメですよ(笑) いつでもそれはヲタクから始まったのだ。
で、結局何がいいたいのかというと、中にはこの盛り上がりを懸念して以下のような意見もある。
「みくみく」にされちゃうのはむしろ音楽業界のほうではないか
これだけのユーザー側のコンテンツ提供の土壌ができていて、ニコニコ動画やYouTubeのような発表の場が揃って来ている。さらにそこから収益をあげるシステム(アフィリエイト等)まで揃ってしまうと、もう「専業のプロ」が出る幕すら無くなってしまうのではないかと思ってしまいます。
確かに既存の硬直した業界の体制を、ある意味揺るがすような「うねり」は感じられる。しかし、私はどこまでいっても「プロフェッショナル」は無くならないと思います。また無くなってはならないものだと思います。
どれだけ「WikiPedia」の内容が優れていたとしても、紙の百科事典は必要だと思っています。(エコの立場からはまた別だが(^^;)
つまり、「プロがきちんと内容に責任持って、金取れるだけの価値あるモンを創る」ってことは、どれだけ素人どもが盛り上がっても必要なのです。またそれは素人には、そう簡単にはできないことです。だから「プロ」と呼ばれるのです。(当たり前で書くのも気が引けるが)
だが、最近はそういう当たり前のことを忘れてるプロが、ままいるってことです(笑)
昔に築き上げた実績や栄光とかが、いつの間にか現在の自分の手元を曇らせるってことがあるかもしれない。ところが手元は曇ったままでも、これまでに出来上がった型があると、ある程度食っていける。すると後は、それの繰り返し…
そんな人がもしいれば、この『初音ミク』の歌を聴いて欲しい。かつてその人にも、こんなときがあったはずだ。「ただ歌いたい」「ただ叫びたい」 …それだけ考えて毎日がむしゃらにやってた時が。
この「ドキドキ・ワクワク」の空気こそが、「創造」に繋がるのではないかと思う。
誰に向かって言っているのかは、今回は敢えて書かないが、そんなことを「恋スルVOC@LOID」を聴きながら思っている*1…
…さて、またミクちゃんを聴きにニコニコ行くか(笑)
*1:「三次元涙目w」とか書かれてんじゃねえよw