花組公演 宝塚ミュージカル・ロマン『源氏物語 あさきゆめみしII』/ 梅田芸術劇場メインホール
行ってきました、花組公演へ。あと少しで終わりですが、３階席までほぼ満員の盛況ぶりでした。
さて今回の公演ですが、源氏物語ということで大体あらすじは記憶にあるので、特に予習してなくても物語を理解することはできました。逆にもし源氏物語を全く知らない人がこの公演を観たら、ちょっと分かりづらいのではないかと思いました。
と、いうのはやはり源氏物語は壮大な物語なので、それを２時間半ぐらいに収めようとすると、どうしても割愛しなければならない部分が出てくる。…特に今回は、歌が占める割合も高かったので、シーンが目まぐるしく変わり時代が移っていくので、知らない人はちょっとついて行きにくい感じだったのではと思います。（紫の上も唐突に登場するし、葵の上は一瞬しか出てこないし、六条御息所はただの妖怪だし…（＾＾；）
そんなわけで全体としては「源氏物語ダイジェスト」のような構成でしたが、煌びやかな衣装と主演の春野寿美礼さんの美しさ、歌唱の素晴らしさが特に際だっていたと思います。
では、演者ごとの感想を…
本当にこの方はいったいどこから声を出してるんでしょうか…？（＾＾；） あの圧倒的な歌唱はいつ聴いても体全体に響きます。今回の光源氏という役どころも春野さんにぴったり。男だけどこの世の物とも思えない美しさを携えた光の君という役は、まさに春野寿美礼そのもの。最後まで美しくそして煌びやかでした。
- 真飛聖（刻の霊（すだま））
光源氏の生命の刻を司る精霊。役どころとしては狂言回しですが、物語の節目に表れてしっかり舞台全体を掌握していく姿が印象的でした。衣装も他の出演者とは違って一人、宇宙的な姿で登場します。途中エレベーターに乗って現れたりと奇抜な演出もありました（＾＾； 歌唱も素晴らしかったです。
源氏に愛される女性二人を演じます。幼い頃から源氏に寵愛されて育てられた紫の上の感じがよく出てたと思います。特に明石の上とのちい姫を預かるシーンのやり取りは、なかなか心に迫るものを感じさせました。
- 壮一帆（頭の中将）
光源氏の親友。でも何故か金髪（笑）。息子の柏木も金髪だったので代々そういう家系なんでしょうか？（＾＾； この爽やかなキャラクターはこれまた壮さんにぴったり。
以上が印象に残った方々でした。…ラストは打ってかわって洋装でのフィナーレとなっています。うーん、どうでしょう… まあそれもアリだとは思うんですが、やはり源氏物語といえば雅な平安王朝の物語なのでそこは最後まで和風な形で終わって欲しかった気も…
特に私が今回一番残念だったのは、二幕最初の方で、成長した夕霧と柏木の二人を見て、源氏と頭の中将が「…久しぶりに、舞うか？」と言って舞を披露するシーン。…あれはまさしく源氏物語でいうところの『青海波』の舞ですよね？おそらく… 若い頃、二人が披露して「この世のものとも思えない…」と言わしめた舞を、若い二人の息子の前でもう一度、披露するシーン。結構、小説で読んだときも印象深かったところなのですが、その舞もドラムの音が効いた洋風な音楽になってました。…やっぱりあそこは雅な和の舞が観たかったなあ… あとシーン展開する時にやたらセット移動の音がガコンガコンするのも耳障りでした。それは舞台の仕様上、仕方がないのかな。
そんな感じで個人的に若干物足りないところもありましたが、栄華を極めた光源氏も所詮は儚い浅き夢をみただけだったという、無常の理を感じさせてくれる良い舞台でした。…またちょっと小説を読み返したくなりました。
