至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

花組公演『明智小五郎の事件簿 黒蜥蜴 / TUXEDO JAZZ』/ 宝塚大劇場

私が花組の公演を観るのは、以前にDC公演『MIND TRAVELLER』を観に行ったのが最初で、宝塚大劇場での本公演は今日が初めてとなります。

『黒蜥蜴』はリボンの騎士 ザ・ミュージカルを担当された木村信司先生が、脚本・演出です。…それどころか、作曲:甲斐正人、振付:羽山紀代美、装置:大田 創、衣装:有村 淳、照明:勝柴次朗、音響:大坪正仁、と他のスタッフ陣も全く同じです。…これはもう映画制作のように、宝塚歌劇の中で「木村組」という形で決まってるんでしょうね。

さて、内容についてですが、原作では結構オドロオドロしい場面もあった『黒蜥蜴』ですが、本作では完全に「メロドラマ」になっています。
『黒蜥蜴』は、かつて三島由紀夫が戯曲化し、何度か映画化もされている江戸川乱歩の人気作品です。特に美輪明宏が演じる黒蜥蜴は定評があり、半ば伝説化している面もあるといいます。そういった作品を新たに宝塚歌劇の舞台として創りあげるには、そのまま従来のものを踏襲しても二番煎じになるし、宝塚歌劇としての魅力も表せない… おそらく、そういう考えもあって今回のような演出にされたのではないでしょうか…

なので、原作に思い入れのある人にとっては、正直ガッカリする内容になっていると思います。私も小説を読んでから今回の舞台を観たので、正直なところ面食らいました。これには賛否両論あるかと思いますが、演出家の挑戦としては、意義のあるところではないでしょうか。

そういった大胆な変更がある今作ですが、作品の主題としては以下のものが読み取れます。
「戦争の悲哀」「処女の残酷性」「契りの尊さ」
・・・なんかまとまってないですが、これはまだ一度しか観ていないので思いつくままに書いてみたからです。
今作を観て「反戦」と捉える人もいるかと思いますが、私はそれとは少し違うと感じました。何度か先の戦争を恨むセリフが出てきますが、反戦というよりも戦争そのものの哀しみを強調して、それが黒蜥蜴が持つ残酷性につながっていくのではないかと… さらに、黒蜥蜴が「男を知らない=処女」という面も、かなり印象を残す演出になってますが、それも次の「契り=夫婦」であることを一つの理想とし、その愛との対比になっているのではないかと思います。
「ホラーサスペンス」から「メロドラマ」へ
非常に意欲的な作品だと思いますが、エンターテイメントとしては残念ながら満足できない結果だと思います。黒蜥蜴と明智の真の関係も、とってつけたように展開されますし、雨宮と葉子の展開も唐突過ぎます。作品の主題としてヒッチコックなのかスピルバーグなのか、どっちつかずの印象を受けます。
ただシーンごとの演技や演出は原作を引き継いでいる部分もあり、一度観て作品全体の展開を理解していれば、違和感は解消されると思います。
あと何度か観に行くので、もう少しこの作品については深く観ていきたいと思います。

出演者について

では、次は出演者ごとの感想を

まず最初に、もう抜群に歌唱が素晴らしい。劇場全体に響き渡るあの歌いっぷりに圧倒されます。そしてあの理知的な明智小五郎を、その体全体から醸し出す雰囲気で見事に演じられてます。明智の変装名人な所も、その声色の変化の演技で楽しませてくれて、まさにCool。

今作品の影のMVPじゃないでしょうかw いや、影じゃなくて本当に黒蜥蜴になりきってました。元旦に会ったあの可愛らしい人が、この舞台では全く対照的な存在に変わっています。さすがにあのトカゲの刺青は素肌ではありませんでしたが…w また、明智を翻弄する変装の早変わりも見所です。

  • 真飛 聖(雨宮潤一)

私は実はこの方が好きですw 純粋にやっぱり格好いい。黒蜥蜴に操られながら、いつかその存在を愛してしまう破滅型の雨宮の好演が光ります。

  • 桜 一花(小林少年)

波越警部の壮さんよりこちらの方が目立っていたような…w 今回、原作に出てこない少年探偵団が大活躍でしたw みんなオカッパでかわいい風情でしたけど、小林少年は特に少年が持つ初々しさが出てて良かったです。一部セリフを間違えてしまったとこも初々しさが感じられてよかったw


あと、書生の朝夏まなとさんも探したけど、帽子かぶってたのがそうかなあ… ちょっと見分けられませんでした。

全体として、花組は春野さんを頂点に真飛・壮の実力者二人がトップ下をしっかり固めるというトライアングルがきちんと形成されているのが印象的でした。彩吹さんがいたときもそうだったのかな? …長くなったのでショーの感想は次回に…