至上のブログ ~瑠々に魅せられて~

主にJuice=Juiceの段原瑠々さんに関連する内容です。2014/1/5までは昔の「愛に観せられて」の内容をインポートしています。

プロの仕事とは

「神ツール」――初音ミク踊らせるソフト「MikuMikuDance」大人気


初音ミク」の3Dアニメを作成できる無料ソフト「MikuMikuDance」が人気だ。その質の高さに「お金を払いたい」というユーザーも続出したが、開発者は「お金ではなく、すばらしい動画を作って見せてほしい」と話す。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/10/news020.html

ネタが切れてきたところに、敢えてこのツールの記事をこのタイミングで書いて盛り上げるところが、みっくみくにされてるユカタンのいいところだw

さて、このツールについては以前に私もここで神発見wと紹介したものですが、今日はYahoo!のトップにも載っていたのでそこで初めて知った人も多いかと思います。

振り込めない詐欺(笑)」ということで、作者がこのツールを無償で公開したことに賞賛の声が集まっていますが、私は作者よりもそう評価する周りに注目しています。つまりこれは実際に払う払わないは別として、ほとんどの人が「その内容が素晴らしければ正当な評価(報酬)を得るべきである」という「意識」を持っているということです。

ニコニコ動画は、ご存じの通り著作権違反の動画がまだまだたくさんあり、アニメの丸上げ動画が日々ランクインしているような所です。その中では当たり前のように他人の作品が利用され、派生作品が生まれています。それは場合によっては“マッシュアップ”として相乗効果を発揮するときもありますが、著作権違反が横行しているともいえます。

しかしそんな中に常駐している「ニコ厨」も、先のツールのように素晴らしい仕事に対しては「金を払わせてくれw」というようなコメントを書くわけです。もちろん実際に払うかどうかは、やってみないと分かりませんが、そういう意識はあるということです。

これは初音ミクを中心としたVOCALOID作品にも同じことがいえます。ほとんどのVOCALOID作者は自身の作品を無償で公開しているわけだし、さらには別途、自身のサイトで音源を公開している場合もあります。それでも「着うた」が売れる。同人CDとして販売したものがヒットする。前にもここで書いたように「タダ」で手に入るものを敢えて買っているのです。

これは当然、素晴らしい作品を生み出した作者に対して「感謝」の気持ちがあるからです。そういう人は正当に評価されないといけないと思っているからです。そしてその対価を支払うことによって、自分自身もその作者と作品により愛着を感じることにつながるからです。

「人は人を正当に評価する」 …あるいは正当に評価されるべきだと思っているのです。今回のツール作者に対して「お金を取るべきだ」という意見もあります。それは何でもかんでも無償がいいという風潮が健全ではないという意味です。確かにその意見は間違っていません。しかし、今回のケースでは作者自身が無償と決めたのだからそれでよいのです。決めるのは作者であって周りではありません。周りはそれを正当に評価すればよい。対価を支払う評価ができないのであれば、別の手段をとればいいだけ。作者も「お金ではなく、すばらしい動画を作って見せてほしい」と言ってくれているのだから…

これが『初音ミク』がもたらした「創造の連鎖」だ。またここから新たな創造が生まれていく… そしてそこでまた素晴らしい作品が生まれ、それが正当に評価されていくのです。

だが、残念なことに肝心のプロの世界では、それが上手く機能しない面がある。初音ミクを創ったクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長も「JASRACはありがとうを届けない」と言ったように、「お金さえ払えば(集められれば)いい」というような風潮がある。もちろん「プロ」なのだから対価を受け取って当然なのだが、それが作者への正当な評価につながっていない場合がある。さらには肝心の「プロ」でさえも、正当な評価を受ける仕事をしなければいけないということを忘れてしまっている場合がある。(金さえ手に入ればいい)

私は「プロフェッショナル」と呼ばれる者は、正当に評価される仕事をし続けている者をいうのだと思う。だからいわゆる「一発屋」はプロではないと思う。プロとして生き残っていくためには、厳しい世界で常に評価される仕事をし続けなければならない。

ニコニコ動画」はアマチュアの世界(時にプロもいたりするがw) そこでは「外の世界」にはない自由な表現、手法がとれる。そして正当な評価を受けることができる。だが一歩、外に出れば様々なしがらみに埋没してしまう可能性がある。

私は是非、そのプロの世界で生きている人達にこそ、その構造を変える努力をして欲しいと思う。そのためには出来るだけ構造的、習慣的な不都合を無くし、真っ当なクリエイターが「正当に評価される世界」というものを築かなければならない。だがそれは出来ると思う。なぜなら、やはり人は人を正当に評価するものなのだから。

そうすれば「ニコニコ動画」で評価された者が、やがて大きな外の世界で、より大きな評価を受けられるようになるのも可能になる。それは一つの理想だと思う。


最後に一つ言いたいのは、どっかの事務所がまたCDにイベント券とやらを付けて売り出すらしいが、別にそれはやってもいいが肝心の中身で「プロの仕事」をすることを忘れないでいて欲しいと思う。「人は人を正当に評価する」 …評価されなくなったとしたらそれは、「プロとして真っ当な仕事をやってない(させてない)」ってことだ。